oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

 板前じゃ、食べれないよ

 友達の娘さんが結婚する。板前さんらしい。板前じゃ、食べれないよ、というのが、彼女の見解だ。一昔前は板前さんはそんなに不安定な仕事ではなかった。店を持つということが当たり前だったからだ。お店で鍛えられて、いつか、家族経営の店をもつ。まじめに、こつこつとしていれば、なんとかなったのだ。

 

 今は、特別おいしい店でないと、成立しない。大規模なチェーン店にいけば、そこそこのお値段で、そこそこの味のものが食べれるからだ。接客の店員さんだって、クレームをつければ、気が利かないやつをとっかえることも、可能だ。

 

 実際、個人の店だと、むら気な店主が無愛想に客あしらいをする日もある。料理の特別な才能もないので、とびっきりおいしいこともない。店の掃除がいきとどかない時もある。そんなことがあると、簡単にお客が離れてしまうことが、多い。

 

 お店は気に入らなければ、とっかえられるからだ。そう、錯覚しているからだ。家の近くの店でやり取りして、楽しくいい店に育てていく。以前はそうするしかなかった。今は車があって、少し遠くの店にいくのも簡単だ。そんな、かんなの世の中の便利さで、その必要がなくなった。そのなかで、個人経営の八百屋さんも本屋さんも魚屋さんも消えていった。

 

 今はだから、チェーン店に板前さんはいる。そして、家族が養えるほどのお給料がもらえるわけではない。店を持たせるほどの責任も感じないので、仕事の一部しか、やらせてもらえない。仕入れのプロがいるからね。お料理するだけでなく、たくさんの人を使える能力があることも必要になってくる。でも、そんな人はたくさんはいらない。

 

 なんか、特別な人じゃないと、ほんと、働いて、家族を養ってて、むずかしいように感じるなあ。本当はひとりひとり、たいしたものなのに。御飯、十人分、均一に作るって、私できないよ。やったこと無いし。それ、毎日でしょ。それだけですごい。

 

 今、世の中で、特別じゃなくちゃっていうのが、満ち満ちてるなあ。大きな組織に、うまくいっているらしい組織にはいらなきゃとか。個人だと、あれもこれもできなきゃならんとか。そんな、会社にはいれるのは、運も、能力もあるごく少数だ。特別な色んなことを出来る人も、元々まれだ。

 

 みんな、なんだか、負け犬感をもっていて、自分を小さく見積もっていたり、その反動で、大きく思うよう、自分を偽ったりしてる。たいしてことも、ないけど、努力して、自分のできるようになったことは、人にはそうそうできない。

 そんな、ことに負けず、若者よ、生きていってね。

 

 で、板前じゃ、食べれないよ。の反論。うーん、確かに。でも、みんな、確実な未来をもっているわけじゃないからね。決めつけず、許してあげてね。