oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと、書いています。

実感としての戦争「戦争と一人の女」

こどものころ、 戦争体験をかたる人の話を聞いていると、一種の冒険談のようなはなしになって、目が輝やくのって不可思議だった。かの太宰治が疎開先を転々としながらも、一番健康だったのは戦争中だったと吉本隆明の本でよんだ。障害者も仕事が初めて回って…

雨宮まみ「東京を生きる」ことばにできないこと

雨宮まみの「東京を生きる」を読んだ。なんとなく呼ばれて、デビュー作の「女子をこじらせて」もよんだが、そちらはいろんな要素を詰め込んで読みずらかった。その混沌をそのままさし出したのが、こちらの本だ。たった5年ぐらいかな。こんなに簡潔な文章に進…

生身の人間がいる。映画「沈黙」

昨日、映画「沈黙」を見てきた。若いとき、感銘をうけた小説だ。何年か前、修道士を志したマーティン・スコセッシが映画化すると聞き、面白いなあと思ってずっと待っていた。ちなみにスコセッシの映画は「タクシードライバー」と「ギャング・オブ・ニューヨ…

いっしょ過ごした「少年の名はジルベール」

私が中学時代、大好きだった萩尾望都先生が竹宮惠子先生いっしょに共同生活をしていたのを知ったのは、ずっと後になってからだ。一年ぐらい前から 、漫画家をめざして上京し、「風と木の詩」を書かれたいきさつを書いたこの本を読めずにいた。そして、そのこ…

忘れたことの忘れられないこと 波津彬子「玉藻前」

波津彬子、漫画文庫で「玉藻前」か、ふむふむ面白そう、なんかすごく読みたい、なぜだろう。そこで、はたっと思い浮かんだんですね。それは子供のとき、何度もテレビでみたアニメで、 ヒロインが「玉藻前」というのがあったのですね。悪に染まったヒロインが…

「逃げるは恥だが役にたつ」自意識のもんだい

ドラマ「逃げるが恥だが役にたつ」SNSで評判だったのでぼんやり見だしたのだが、これがびっくりするほど刺さったので、感想を書きたくなりました。ちょっと昔の時代劇やらに新妻ものというは結構ありましたね。かつてのお年寄りはそれに結構萌えたのだ。今の…

善意こそがひとをそこなう「みんな彗星をみていた」

遠藤周作の「沈黙」は私の好きな小説のひとつだけれど、いまいち背景がわからなかった。そういった悶々に答えてくれたのが、星野博美さんのノンフィクション「みんな彗星を見ていた」だ。このなかで星野さんがカトリックの世界への宣教は最古のグローバル企…

 映画「この世界の片隅に」ものがたることの意味

こうの史代さんを知ったのは、評判の良かった「夕凪の街 桜の国」を立ち読みしたからだ。本屋さんで涙が止まらなくなって、連れて帰りました。私は滅多に涙が出ないので、びっくりした。原爆のはなしで泣いたのではない。特別なはなしではなく、私にもあった…

アン・ブロンテ「アグネス・グレイ」とオースティン

編者の桜庭一樹さんのtwitterに惹かれて、ブロンテ姉妹の末っ子のアン・ブロンテの「アグネス・グレイ」を読んでみた。アンも小説を書いていたのは知っていたが、きちんと紹介されたのは、初めてなんじゃないだろうか。巻末の作品外題でも指摘されているが、…

日曜日 雑感

日曜日の朝、やっとこさ、まとまった時間ができ、貴重の秋の晴れ間を歩きたいので、銀座のヒグチヨウコさんの展覧会を見に行った。そんなに興味がなかったが、たまたま最終日だし、猫にひかれたのだ。行ってみたら、やっぱり、そんなに興味がわかない。興味…

よしながふみ「大奥」とトランプ

ドナルド・トランプのニュースを見ていて、支持者の女性が、彼の女性スキャンダルを評して、「あれは仲間内でエロいはなしをしている男の子なんだから。」って言ってたのを聞いて、女の敵は女じゃなと笑ってしまった。男は、複数の女性とつきあうべきだって…

映画「永い言い訳」はこたえる

この映画はこたえました。まず、話しは、交通事故からはじまります。じつは、私、夫が仕事に逃げて、子育てが煮詰まったとき、こどもふたりと車に乗っているとき、車線をはみだして、相手の車を大破させさせたことがあることを思い出しました。幸い、用心深…

静かなでゆたかなほの暗さ 能町みね子

私にとって、能町みね子はタモリ周辺にいるちょっと不思議な人ぐらいの感じだった。オールナイトニッポンでラジオをやっているのは知っていたけど、夜更かしは苦手なので聞いたことがなかった。いいなっと思ったのはWEBのかたすみにあった「お家賃なんですけ…

生者と死者と「君の名は」新海誠

とうとう新海誠の「君の名は」見に行ってしまいました。彼は私とおなじ国文科出身だそうで、古今和歌集の小野小町の「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを 」と院政期の「とりかえばや」ヒントにしたと、町山智浩さんの「映画ムダ話…

福山雅治ってどうよ。映画「SCOOP!」を見る

福山雅治のドラマや映画は見たことがなかった。私の見る種類じゃないかったからだ。キラキラした男前を愛でるのは苦手だ、私はやぼなのだ。しかし、日本の芸能界でも、特別なひとだと思う。大河ドラマは見た。幕末のモテ男龍馬に似合っていたから、楽しかっ…

ドラマ「夏目漱石の妻」明治の新しい夫婦

長谷川博己と尾野真千子が漱石夫妻を演じる、ドラマ「夏目漱石の妻」を楽しみにしている。ご子孫も遠くなったし、世の中の感じ方も変わったしで、夏目漱石の生い立ちとその精神的苦悩、そして家族へのDV描写までも描かれていて、色々と考えさせられる。池端…

最近見た映画

ここのところ見た映画をまとめてみます。大分前だったけど、印象がつづいて、考えさせられたのが、「オマールの壁」です。パレスチナの抵抗運動をする若者をえがいた映画なんですけど、どこにでもある不良を抜けられないわかものの悲劇として普遍性がありま…

もやっとした気持ち「アヘン王国潜入記」

久しぶりに遠出して、ここらで唯一チェーン展開していない本屋さんに寄った。だんだんとスペースが先細っていき、本の内容が多彩でなくなっていくのが寂しい。そんななか、高野秀行の「アヘン王国潜入記」が紹介されていた。 こういうくせのある本の紹介、す…

子供が持てる、ミッフィちゃんの絵本

今週のお題「プレゼントしたい本」 1才からのうさこちゃんの絵本セット 1 (全4冊) 作者: デック・ブルーナ,いしいももこ 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 2010/04/01 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 実際に最近、親戚の赤…

寺山修司がわからない

深夜、テレビをつけると増田セバスチャンと平井堅の対談をやっていた。寺山修司が好きでアートのせかいに入ったと知ってから、気になる存在だ。だから、大体そうだろうなと思いつつも、自伝の「家系図カッター」も読んだ。親と問題があるひとは、総括すべき…

父たちと宮沢賢治と「春と修羅」

ここのところ、毎年、盛岡を旅している。去年、行きたかった花巻に行ってきた。父に買ってもらった本のなかに宮沢賢治の「風の又三郎」があったからだ。父が選んだと思い込んでいたが、私がねだったんだと、改めて思い出した。5年のときの担任は、今でいう…

9月に展覧会へ行こう

かつて、子供たちが学校に行く9月になると、親も子もほっとしたものでした。そんなとき、ふらっと美術館にでかけました。わりに疲れていても楽しめる気晴らしだと思う。なので、9月にやっている展覧会を紹介します。不便なところもちょっとした旅気分にもな…

「鬼才 五社英雄の生涯」大衆的って何だろう。

私は五社英雄のファンでないので、いくつかしか見てないけど、そのなかで、「陽暉楼 」が一番好きだと思う。普段テレビであいまいな演技をしていた女優さんたちから、演技を絞りだした華麗な映画だ。特に浅野温子をテレビだけで知ってる人は、びっくりすると…

「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」工夫というささやかな試み

前から気になっていた本です。精神科の医師が、自殺が少ない地域をたびして、その体験した風土をルポをまとめた本です。特別ないろんなケアとかあるところなんだろうか。結論から言うと、ひとを追い詰めないけど、ごくふつうの悪口も陰口もある町だそうです。…

 父性のひととしての秀吉 真田丸

真田丸の小日向文世演じる秀吉、面白い。前回の「黄昏」は、医事監修のひとも参加して、ボケ老人を事細かに演じていて良かったです。その中で感じていたのは、かつての三成や清正たちにとっては、秀吉夫妻は親同然だったということです。 秀吉は多くの優秀で…

なんで、あんなに小説を読んでいたんだろう

二十代は山本周五郎からはじまり、司馬遼太郎とか、池波正太郎とかをほぼ全巻よんでいた。星新一とかのSF、そしてアガサ・クリスティなんかもを読んでいた。みんな文庫であるし、図書館で借りやすかったのもある。司馬遼太郎はある世代には日本の知性みたい…

日本の結婚がおかしい「中国嫁日記」

「中国嫁日記」のことを知ったのは、コミケをめざす長男さんからだった。ジンさん「かっこいい、憧れる」って言っていて、変だなあと思っていた。私がイメージする中国嫁は、どうにも女性に相手にされなくなった年配の男性が、貧乏な中国人女性と結婚するパ…

まんが「とりかえばや」ふつふつとわく母系のちから

さいとうちほのまんが「とりかえばや」を読んで、リボンの騎士、ベルばら、彼女自身の「少女革命ウテナ」をへて、平安末の院政期にかかれた原作「とりかえばや物語」に至ったのは必然だなと思った。日本はかつて、妻どいなんかをする母系社会だったけれど、…

いまさら小林秀雄をよんでみた

吉本隆明の「西行論」をよんでいると、小林秀雄の「無常ということ」で西行について書かれたことで、本を書いていることがわかった。なかで紹介されている地獄絵をみてという連作で仏教者としての西行を知ったことがきっかけだそうだ。歌詠みとして知られ、…

映画「牡蠣工場」日常にこそ、力がある。

映画を見ていると、ときどき、なぜ、わざわざそれを選んでみているかとはっと気がつくことがある。冒頭の牡蠣の水揚げの作業から牡蠣むきと港の風景を見ているとなんだかもやっとした。行ったことがある。港の寺をみて思い出した。安国寺恵瓊の寺だ。当時見…