oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

読書

日本人にしか、書けない 遠藤周作

第三の新人で、一番読んだのは、遠藤周作だ。小説もたくさん読み、エッセイもほとんど読んだ。エンタテイメントとしても、サービス精神豊富な、彼の生き方が楽しかった。しかし、今、思ってみると、都市生活を描こうとしていた同世代の作家のなかでは、日本…

ブレイクスルーについて 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」続き

「ジョゼと虎と魚たち」は、田辺聖子の日本の古典、フランスの恋愛小説、おもにサガンの研究が融合した成果だ。そして、隠された若き日の恋愛の苦い体験が底にあるのではないかと思っている。ジョゼの描写に、市松人形のような顔、そして、人形の足のような…

ブレイクスルーについて 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」前編

私は、若いころ、田辺聖子の愛読者だった。大阪の本屋さんだと、新刊が出るたび、目立ったところに置かれていた作家さんのひとりだ。古典文学にくわしく、おもしろくかいつまんだ現代訳と解説の本を、たくさん出されていたので、愛読していた。(かいつまん…

ムーミン谷の彗星

ムーミン谷の彗星 (講談社文庫) 作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,下村隆一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1978/10/27 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 66回 この商品を含むブログ (41件) を見る ムーミン展にいって、是非読んでみたいなあと思っ…

人の本棚はおもしろい

色んな人が本棚をさらしてるので、やってみます。人の家に遊びにいくと、本棚、見るのって楽しみです。地図の多い家は旅行好きなんだと思うし、スポーツマンの人が、複雑な本をもっていて、この人は、鈍感をよそおっているのだと感じたりします。なりたい自…

怖がらずに読んでみる「スカートの下の劇場」

社会学者 上野千鶴子さんの初期の本です。フェミニズムは、この本が書かかれたころより、当たり前になっていると思います。しかしながら、男が悪いから、女は不幸なんだといういいわけに、相変わらず、間違って使われていると思います。私からからみると、男…

どんなに時代が変わっても人はかわらない

まあ、ここんとこ読んだ本の感想なんですけどね。まず、迫害された江戸時代の浄土真宗の信仰について書かれた本です。江戸時代、鹿児島では、浄土真宗は禁止されていたようです。それは、米もとれない貧しい生活の中、親鸞のおしえを中心に平等をといた浄土…

 商店街は楽しい。「米国人一家、日本を食べ尽くす」

米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす 作者: マシュー・アムスター=バートン,関根光宏 出版社/メーカー: エクスナレッジ 発売日: 2014/06/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る ベストセラーになった「英国人一家、日本を食べる」のコバ…

私は太宰治が読めない

村上春樹のエッセイ「村上ラヂオ」で、あったかい子犬をだいた気分になると、写真に写るのがこわくないという話がある。明恵上人の犬を見ながら、私は、考えていた。あったかい子犬とは何か。たぶん、そのエッセイのなかに、彼が太宰治がきらいだという話も…

 言えること 言えないこと

アメリカの緊急電話119に、宅配ピザをくださいとのある女性からのいたずら電話がかかって来て、それをとった係の人が、これは、何かあると感じて、警官を派遣したところ、DV被害の真っ最中だったということを、ネットで読んだ。こういったいたずら電話を…

「シャバはつらいよ」 「困っているひと」その後

大野更紗さんの本、「困ってるひと」を初めて読んだとき、難病の人が、感情を持ち、考えていることに、びっくりしてしまった。今は情報が過多の時代で、人は見たいものしか見ないと生きていけない。その中で私にとっては、生きるのに必死で、保護されるべき…

最近読んだ本 人にきちんと知らせることの大切さ

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書) 作者: 春日太一 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/09/16 メディア: 新書 この商品を含むブログ (11件) を見る 「なぜ時代劇は滅びるのか」春日太一 この本でも取り上げられている、「雲霧仁左衛門」が、古い脚本で、…

「ゴジラとナウシカ」

『「ゴジラとナウシカ」 海の彼方より訪れしものたち』赤坂憲雄 イーストプレス ゴジラとナウシカ 海の彼方より訪れしものたち 作者: 赤坂憲雄 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2014/08/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 主に、東…

さよならオレンジ 言葉の力

さようなら、オレンジ (単行本) 作者: 岩城けい 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/08/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (29件) を見る 「子連れ狼」の原作者の小池一夫さんが、週刊現代の中で、心に残った10冊という文章で、最近の作品と…

旅先で読んでた本

飲み食い世界一の大阪 そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの 作者: 江弘毅 出版社/メーカー: ミシマ社 発売日: 2012/12/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る ちょっくら、関西の方へ、お墓参りやら、主人の両親訪問や…

本好きへの100の質問、やってみました。

「本好きでの100の質問」http://www.geocites.jp/bookend1185/book100.html ご縁を感じたので、暑気払いに答えてみますね。印象に残ったところだけで、全部は答えてません。 まず、001 本が好きなのは、 たぶん、好奇心が強いからだと思います。人の考え…

最近読んだ本 昔の日本について考えてみる

暑いですね。夏の盛りです。でも、ツクツクボウシが、鳴き出したようなので、夏は、 あと少しです。さて、この夏、読んだ本です。 サンカの民と被差別の世界 ――隠された日本 中国・関東 (ちくま文庫) 作者: 五木寛之 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2014…

花子とアンの時代、『「パンとペン」社会主義者・堺利彦と「売文社」』の闘い』

最近、朝ドラの「花子とアン」に、はまっています。以前から、読もうと思って、挫折していた、黒岩比佐子著 「パンとペン」を、読みました。堺利彦は、明治三年生まれで、昭和八年に亡くなった、文学者であり、社会主義者である人です。この人は、無類の世話…

人間らしく、生きて行く 「消費をやめる」銭湯経済のすすめ 平川克美

「消費をやめる」銭湯経済のすすめ 平川克美 銭湯と聞いて、読んでみました。私は、銭湯について、色々な思いがあります。そのひとつに、かつて、小学校の同窓会にいったとき、俺さ、銭湯で、世の中について、学んだよなっていう話が、同級生から、ありまし…

ありふれているけれど、本質的な問題「アンナ・カレーニナ」

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫) 作者: トルストイ,木村浩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1998/03 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 41回 この商品を含むブログ (111件) を見る 私が、好きな小説に、トルストイの「アンナ・カレーニナ」がある。…

時には、おおらかに「禁断のレシピ」

「禁断のレシピ」多賀正子 枝元なほみ NHK出版 ネットで、気になっていたら、新聞に、枝元なほみさんが、この料理本を書かれた理由を語られており、それが、面白くて、読みました。高カロリーで、油やお砂糖をたっぷり使った、お料理を紹介した本です。書店…

自分の中の自然を考える「内蔵とこころ」

「内蔵とこころ」 三木成夫 河出文庫 解剖学者で、東京芸大の教授だった、三木成夫さんの、保育大学での講演をまとめた本。子育て本のひとつして、読まれているらしい。子育てが終わった、私が、読んでもなあと、思ったけれど、読んでよかったです。よく、頭…

ふるさと大阪を考える 2

続きです。大阪について考えると、私が、かつて読んだ、司馬遼太郎の歴史ものを思い出します。彼は、坂本龍馬を、人々に発見させたように、歴史に埋もれた人物や、出来事を教えてくれた人だと、思っています。初期は、大阪の歴史について小説を、色々と書か…

ふるさと大阪を考える 1

私が、よく見ているサイトにこういうのがある。 十三のいま昔を歩こう 梅田に遊びに行き、淀川から、帰り、夕焼けを眺めながら、阪急京都線の鉄橋を渡ると、十三である。とても、美しい風景だ。そして、なぜ、十三という呼び名であるのか、永年、知りたかっ…

最近読んだ本 5 さまよい歩くこと 言葉を与えること

「みちくさの名前」 吉本由美 NHK出版 以前、ほぼ日に連載されていた、スタイリストの吉本由美さんの連載をまとめたもの。かつて、ご近所を散歩していると、よく、こういった道ばたの草を、眺めていたのですね。この辺りも、まだ、緑がいっぱいでした。まだ…

ケストナーへの思い

ツヴァイクが、ウィーンのユダヤ人であり、著書をナチスに焼かれた作家であることを知り、ケストナーについて、書いてみたくなった。ケストナーは私の大好きな作家の一人だ。トリヤーの挿絵もあって、とても好きだったので、図書館とかで、全集を読んだ。自…

ずっと、行きたかった宮島に行ってきました 1

週末、ホテルの割引券をいただいたこともあり、これも、ご縁だと思い、広島は宮島に行ってきました。まず、呉市に行ってきました。 広島駅から、在来線に乗ります。 呉の駅から見た線路。起伏のある地形です。 大和ミュージアムへ行きました。大和という船に…

またまた、読んでしまいました。英国一家ますます日本を食べる

英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ) 作者: マイケル・ブース,寺西のぶ子 出版社/メーカー: 亜紀書房 発売日: 2014/05/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る ここでも書いた、本の続…

海街diary

吉田秋生の海街diaryが、「そして、父になる」の是枝裕和監督で、映画化されるらしい。 コミックナタリー - 吉田秋生「海街diary」是枝裕和監督により実写映画化 この三姉妹の生き様を描いた原作を読んだとき、鎌倉という土地で描かれた家族の物語が、とても…

沈黙 語られないことの豊かさ。

私には、学生のころからの友人がいる。その友人が、2、3年前に、広島、呉の大和ミュージアムに行ったと聞いて、不思議に思った。おしゃれが好きで、食べるのが好きな彼女には、かけ離れていたからだ。で、聞いてみると、軍人だったおじさんが、戦死したの…