oohama5656's blog

日々の思いを言葉に出来るといいなあと思っています

「ひらばのひと」物語を語るひと

久世番子「ひらばのひと」モーニング連載おめでとうってことで。 私が講談に興味をもったのは映画を見に行った新宿の武蔵野館で神田柏山こと、神田松之丞の公園ポスターにぽっーとなったことだ。内容が歴史ものだったのも新鮮だった。 まずい。田舎からやっ…

ドラマを見て。「舞妓さんちのまかないさん」アジール(自由領域)としての京都

新しいなって思ったのは、貧しい青森の農村が最初に描かれことだ。主人公のキヨは祖母に育てられた孤児だ。高校進学もおぼつかない。そして、一緒に舞妓をめざす少女すみれの両親の話はてんで出てこない。うん、今頃、そうなのだ。こういった問題のある地方…

ドラマ「エルピス」雑感

渡辺あやのエルピスにはそんなに期待値が高くなかった。朝ドラ「カーネーション」は傑作だけど、あれは長い準備があっての作品だしなっていう感じだった。だから、配信でチラチラ見てた。ここはさすがに面白いなとか。演出の大根仁、抑えてて、でも、さすが…

食べることの意味ドラマ「作りたい女食べたい女」

ドラマ「作りたい女食べたい女」を楽しんでいる。NHKの15分枠なんでほんとゲリラみたいなドラマだなって思っている。 原作は評判だったのでちらっと読んでいた。ドラマで見ると生々しい。特に第5回の主人公の野本さんの隣人である春日さんが長く実家に帰ら…

「波多野氏と波多野荘」地方と都

この本にある画期的な事は波多野氏は最初は佐伯氏だったという研究らしい。 佐伯氏とは何か。彼らは元々は帰属した蝦夷をたばめて軍団とした長が名乗った苗字だ。古代の軍事貴族だった大伴氏のうち、その役目を負った人たちが名乗った。 奈良時代に聖武天皇…

始まりの保元の乱「波多野氏と波多野荘」

この本の冒頭、慈円の愚管抄の「保元以後ノコトハミナ乱世 日本国ノ乱逆ト云うコトハヲコリテ後、ムサノ世ニナリニケルナリ」と引用されている。 波多野氏がなぜ秦野の地を捨てたか。その遠因は保元の乱のとき、彼らの先祖である波多野義通が敗者である源為…

いたい。。「古オタクの恋わずらい」

古オタクの恋わずらい(3) (Kissコミックス) 作者:ニコ・ニコルソン 講談社 Amazon ニコ・ニコルソンの「古オタクの恋わずらい」がいたくて面白い。古風すぎる題名をみてぴんときたのだがこれはホラー漫画家の伊藤潤二の最高傑作のひとつ「死人の恋わ…

困難が終わった世界「昨日何食べた?」

きのう何食べた?(20) (モーニングコミックス) 作者:よしながふみ 講談社 Amazon 昨日何食べた?の新刊がでた。いつもの定番の登場人物が現れ、おいしいごはんが紹介される。そのなかでラスト今まで出たことのない母子の話がよかった。 キャリアウーマン…

もてること報われること「鎌倉殿の13人」第39回の感想

歌人として天才である鎌倉幕府三代将軍である実朝はどんな人だったか。彼には後見である大江広元と叔父である北条義時に養子をとってくれって頼むという吾妻鏡の史実がある。それをすんなり受け入れた彼らはどうかしてると古来いろんな推測があるらしい。 ま…

「アイアムまきもと」地味にしみる

へえ、「おみおくりの作法」阿部サダヲでリメイクするのか。私は配信でぼんやりこの映画を見てから結構気に入っている。 英国のやたらめったら脇で映画出てるエディ・マーサンの唯一の主演で、英国のどこかにある「おみおくり課の役人」の話である。 おみお…

初恋の悪魔 最終回

初恋の悪魔、面白かったです。脚本の坂元裕二が生まれ変わった感じがしました。前の「大豆田とわ子と三人の夫」も特に岡田将生が良くて好きだったけど、配役の力を借りて更新されていた感じがしました。 最初、仲野太賀を目当てに見てたんだけど、もちろん、…

明恵上人の子犬

私は明恵上人が好きだ。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見てると北条泰時も明恵上人に出会い、色々とカウンセリング的なことをしてもらっていたことを知った。 私の父が新しいお母さんと子供たちと団らんしてるのを見ると、私は愛されていなかったのではないか…

岡本綺堂 心の中に秘めたもの 余白

岡本綺堂の小説でいいなって思うものの感想を書いてみようと思う。 『岡本綺堂全集・242作品⇒1冊』 作者:岡本 綺堂 岡本綺堂全集・出版委員会 Amazon まず、アンソロジー「山怪」に載っていた「くろん坊」。 働き手の優秀な息子が僧侶を志したことを許した山…

岡本綺堂 心の中に潜むもの 修善寺物語

私は今大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に夢中なのだけど、便利な世の中だ。SNS で歴史について色々と教えてくれる。それで源頼朝の息子である頼家の死に顔を写したという仮面が実在することを知った。それは地元の伝承で毒である漆を流した風呂で殺された頼家…

岡本綺堂 人の心に潜むもの 展開

玉藻の前は漫画アニメで多く、原作のひとつとして再評価されているようですね。

岡本綺堂 人の心に潜むもの 発端

本屋さんをぐるぐる回っていると、とても美しい表紙だけど千円ほどで売っている本があった。ちらっと立ち見してみると有名作家の短編集で面白い。値段も安い、思い切って買ってみた。 この本は東雅夫というホラー作家のアンソロジーで山と渓谷社という登山や…

「鎌倉殿の13人」32回 不確かな親族の愛情

「鎌倉殿の13人」で頼朝の息子頼家が妻子を殺されたうえに将軍の座からおっぱわれる場面で号泣して泣き伏す場面を見ていた。 大河ファンはしらけるかもしれないけど、北朝鮮の金正恩が浮かんできた。うわさに聞く彼は人としてとんでもないらしいけど、頭が…

「初恋の悪魔」が面白い

坂元裕二脚本で仲野太賀が主演を取って、松岡茉優が久しぶりっていうので見だした。 私はいわゆるトレンディドラマや恋愛ものが苦手で坂元裕二のドラマはほとんど見ていないのだけど、「Mother」は見た。再放送だけど。人気子役だった芦田愛菜が主役というこ…

「ゴールデンカムイ」と失われた少女

「ゴールデンカムイ」が完結した。読んでいた感じたのはえらく成熟した人が描いた娯楽漫画だってこと。不思議な変態さんたちや動物やアイヌのグルメなんかが楽しく描かれているけど、常に子供たちのことを念頭に描かれている視線を感じるからだ。 なんでも、…

「笛吹川」戦争ということ

先日、HNKBSで木下恵介の「笛吹川」を再見した。改めて見てみると強烈な反戦映画なんだなって思った。絵巻ものを意識した部分パートのカラーがうまくいっているとは思わないけど、役者たちが汚れもあって遠景で描かれ一庶民として描かれた。 そして、主君と…

「笛吹川」木下恵介について

梶原景時の十字路

梶原景時のことを意識したのは伊勢原駅から伊勢原の霊山である大山から江の島に行く街道を歩いた時だ。 キャーッ!大山街道!! (未知の道シリーズ) 作者:中平 龍二郎 風人社 Amazon この本を参考にした。江の島道が中心に書かれています 本筋の江戸からはこち…

小さな町の小さな歴史

河村城跡に行ってきました。前からあるのは知ってましたが何なんだろうなって思ってました。 山北町を支配した河村氏という氏族のお城らしい。彼らの話が記録に出てくるのは二度ほどです。その二度目にこのお城が出てきます。ときは南北朝のころ。南朝につい…

「ベイビーブローカー」冥界からの視線

「ベイビー・ブローカー」見てきました。赤ちゃんポストがテーマなんで社会的な話なんだけど、とっとさに出てきた感想が面白いだったので、なんと不謹慎と感じたのでブログ書いてみます。 最近の是枝作品、かつての倍賞千恵子や倍賞美津子が出てた70年代の…

岸田森さんについて

「シン・ウルトラマン」を見に行って名バイプレイヤーだった岸田森を思い出した。 岸田森の仕事で一番印象に残っているの「帰ってきたウルトラマン」を松葉づえの男を演じたときで、今回確かめてみたら主人公の育ての親役だったらしい。 なんでかなって思い…

「銀座24帖」無頼の影 川島雄三

ヒロインの姪役の北原三枝がいいとのことと昔の都市風景が好きなんで何となく見始めたのですけど、まず、語りの森繁久彌の歌「銀座の雀」で始まる。そして、多摩川付近の田舎の銀座を名乗る遊郭そばの田園が写される。なんか違うなって思うと、川島雄三の日…

曽我兄弟の里に行く

曽我兄弟を祀った曽我神社です。 曾我物語の舞台である曽我の里に梅のころ行ってきました。 近くなので時々行くのですけど、曽我物語について記述した坂井孝一さんの2000年の「曽我物語の史実と虚構」を読んで視点が変わったし、やはりと思ってとこもあ…

柴崎友香「その街は今は」

1918年の正月、大阪のあべのハルカスの風景。古墳が近かった。 大阪弁で書かれているからかサクサクと読めた。この頃は小説を読むのがおっくうだったけど、生まれた土地の言葉だからだろうか。 平成18年の大阪の若い女性の日常を描いたもの。若い時、…

「シン・ウルトラマン」はホラーだ

話題の「シン・ウルトラマン」見てきました。斎藤工の主人公、神永がぴったりだなって感心した。斎藤工という俳優さんは若い時からNHKがえらく押してて、時代劇の主役なんかもやっていたのだけど、何かはまらない俳優さんだった。 浮遊感がある。だから、…

太田道灌の終焉地を行く

前回、大庭城に行ったとき、これは小田原城に負けない城だと感動しました。 そして、それの基礎を作ったのが太田道灌と知りました。 今、楽しんでる「新九郎、奔る!」の太田道灌の描写がとても面白い。 で、改めて伊勢原の太田道灌の首塚に行ってみました。…